2016年6月21日火曜日

2016夏 イワナ&たき火&吾妻山

沢は魅力が溢れている。その魅力を個々に,時間をかけて楽しむなら,時間はたくさんある方が良い。しかし今は,子どもの習い事のお迎え時間が決まっているため,タイムリミットがある。残念だがそれも大切な仕事だ。だがいつか,そんなタイムリミットもない,ゆったりした時間で,寒くなればたき火をし,山菜があればそれを食べ,魚があれば釣りをして,日当たりの良い瀬でタープを張り,酒に浮かぶ月を眺めながらイワナに喰らいつく。沢から尾根に上がり尾根から沢を下る。人里の暮らしが恋しくなったら,山を下りて温泉に浸かり冷たいビールを飲む。そしてまたザックを担いで沢を進む。いつか,そういう山旅をやってみたい。今回,理想の山の一部分を切り取ったようなこの計画にStが付き合ってくれた。YCCで仲間ができて本当にうれしい。たき火を夢見心地で見つめながら,酒と煙に燻され,月の光に照らされながらシュラフに潜り込んだ。
月夜の下で
①日時:2016年6月18日(土)
②行先:吾妻山(大膳原野営場)
③メンバー:St,Mk
④行動記録:
奥出雲某所にて渓流釣り(17:30)→馬木登山口(19:00)→大膳原野営場(19:40)
大膳原野営場(6:30)→馬木登山口(7:30)
⑥行動概況:
翌日は町のバレー大会。8時集合である。時間が無い。それでも休みを合わせて山で寝てみたいとStが時間を合わせて志願してくれた。そのお礼に,秘密のポイントへ招待する。夕暮れまでに4匹は釣りたい。釣りも山スキーもたき火でさえも,大切なのは所作。ルーティーンである。老眼で結ぶ糸が見えないStを見て見ぬふりをしながら,早々と2匹釣る。ポイントを変え,何匹か釣る。サイズが小さく雌ばかりなのでリリースする。Stの方へ眼をやると,目を細め,手を伸ばしてぶつぶつ言いながらまだ仕掛けを作っている。手を貸そうかと思ったが,こういう時,Tはいつも私を温かい目で見つめながら私をほっておいた。だから私もそれに習い,Stをほって釣りに没頭した。しばらくすると,竿を立てニタニタしながら私の方へ近づいてきた。なんと,糸の先にはサイズの良いイワナがついていた。少年のように目を輝かせながら「やりました」と言って得意げにそれを私に見せてきた。とてもうれしかった。やっぱり,同行者が喜んでくれるのが何よりである。もっと大きいのを釣ってビビらせようと,少し下流にポイントを変えて釣ったが,釣れるのはドロバエばかり。結局サイズが良いのは2匹だけだった。Stに「どうだった?」と聞くと「3匹釣れました」とさらに瞳を輝かせて言って来たので,少しイラッとしながら桶を除くと,1匹ドロバエが混ざっていた。さっさとそいつをリリースしてやり「お互い2匹ずつでよかったですね」と声をかけた。危ないところだった。それから場所を車で移動し馬木から大膳原へ上がっていく。食材,ウイスキー,タープ,重たい氷。明らかに私のザックはパンパンだ。重いザックを降ろして薪を拾いに行く。Stにタープの支柱となる倒木を探してくるようにお願いするが「ありませんでした」と言って帰ってきた。「マジで?」イライラッとしながら,もう一度探して下さいとお願いすると,今度は床の間の柱のような倒木を担いできた。St恐るべし,本気を出せばすごい男だ。タープを張って,たき火を始める。火が出来上がるまで,ビールを流し込んだ。特大の岩ガキをナイフで掻きだし頬張った。美味い。大きなイカを刺身にしていただき,さっきのイワナが塩焼きになるのを待った。鍋にウイスキーと氷をぶちまけチビチビと飲む。ケンウッドのスピーカからハービーハンコックが流れる。イワナが焼けるころには,2人もまた,たき火と酒に燻され良い気分に出来上がっていた。朦朧としながらイワナに喰らいつき,そのままタープの下で眠りについた。2時頃からスコールになり,明け方は雷が落ちていた。私は少し濡れていたので寒かった。カッパを被り,強い雨に打たれながら緩んだタープのひもを貼り直した。空は赤紫に光り,タープを叩きつける雨音はすさまじい。
Stとの山は常に楽しい
肌寒さと,もしかしたら,この床の間の柱に雷が落ちるのではという不安であまり寝ることが出来なかった。しばらくすると雨は和らぎ「テッペンカケタカ」とホトトギスが鳴きだした。もうすぐ夜明けである。私がモゾモゾしだすとStも起き上がってきた。震える不安な夜を過ごしたことだろうと「よく眠れましたか?」とStに声をかけた。「いや~快適でぐっすり眠れました」と返ってきた。「あっそう。そうですよね~」St恐るべしと思いながら,そそくさと荷物をまとめて下山し,バレーボール大会の得点係りで,2回寝落ちしました。St楽しかったです。又よろしくお願い致します。

6 件のコメント:

  1. Stも色々と逸話を作ってくれそうな予感が。
    花のある3人組に加入ですね。

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  2. ふと思い出したように山女(ヤマメ)が恋しくなる。
    一時探し求めた事がある。振られ続けた。姿を現してくれただけで,心臓が高鳴った。Mkのブログはそんな昔を思い出させてくれる。
    今は夏,ヒグラシのもの悲しい鳴き声が響くそんな深山に,もう一度逢いに行ってみるか。

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    1. Tとの山はすべてが初めての経験。空いた口が塞がらないくらいの感動がありました。Tも常に笑い声があり、気迫があり、優しさの中に厳しさがあります。今でも、その気迫を見せ続けてくれていること、尊敬しています。

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  3. Stとも沢に行きたいですね。他の会員とも行きたいですね。今度の寺ケ谷川にも参加して欲しいですね。

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  4. MKさそってくれて有り難う。 YCCに入って、こんな経験が出来るとは、思いもよりませんでした。 若い頃から私の心の底にあったもの(出来ずに)、それをYCCの大先輩たちやMKは実践されていたのですね。 すばらしい!!
    今少し、体力をつけたいと思いますので、もう少ししたら、何処にでも誘ってください。

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    1. いよいよ、ウェットスーツの出番ですね。たくさん準備は必要ですが、甲川に向かって準備しましょうね。
      岩牡蠣と白バイ貝…あの味が忘れられない。

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